新型劣後債(バーゼルⅢ適格Tier2債券)

新型劣後債(バーゼルⅢ適格Tier2債券)とは

新型劣後債(バーゼルⅢ適格Tier2債券)は、国際的な銀行自己資本比率規制(バーゼルⅢ)においてTire2資本として計上することができる劣後債です。

バーゼルⅢとは?

バーゼルⅢとは、バーゼル銀行監督委員会が公表している国際的に活動する銀行の自己資本比率や流動性比率に関する国際統一基準であるバーゼル合意に基づいた規定です。バーゼルⅢでは、銀行に対して自己資本の質及び量の強化を求めており、銀行の健全性と国際金融システム全体の安定性を高めることを目的としています。

自己資本とは?

自己資本とは企業が株主等から借り入れた原則返済の義務がない資本のことです。

Tier2とは?

Tier2とは、法的倒産時(破産、民事再生、会社更生)に預金者を含む一般債権者に先立って損失を吸収する資本・負債である優先出資証券や劣後債等を言います。

バーゼルⅢに対応したTier2資本に算入されるためには、債券の弁済について一般債権者よりも劣後すること(劣後特約)の他に、実質破綻認定時においては元本削減がおこなわれること(実質破綻時免除特約)が要件となっています。※劣後特約及び実質破綻時免除特約については下記バーゼルⅢ適格Tier2債券のリスクをご参照ください

どんな特長の債券なの?同格付け普通社債と比べると利回りが高いです。ただし、リスクも大きいので、注意が必要です。 どんな特長の債券なの?同格付け普通社債と比べると利回りが高いです。ただし、リスクも大きいので、注意が必要です。

同格付け普通社債と比べると利回りが高い

債券の利回りは国債などの基準となる金利に様々なリスク分の利回りが上乗せされて決定され、リスク量が多くなればその分だけ利回りは上昇します。

新型劣後債(バーゼルⅢ適格Tier2債券)はリスク量が多いため、同期間・同格付け普通社債と比べると0.5%~1.0%程度利回りが高いです。

一般的な社債の利回り・新型劣後債の利回り 一般的な社債の利回り・新型劣後債の利回り

新型劣後債(バーゼルⅢ適格Tier2債券)のリスク

劣後特約

劣後特約とは、債券の発行者が倒産した場合などにおいて、債券保有者に対する本社債の元利金支払いが、預金や普通社債等の優先債務の履行よりも後順位になります。破産、会社更生、民事再生などの手続きが発生した場合、弁済順位が普通社債よりも劣ることになり、劣後債権者はその元利金の全部または一部の支払いを受けられない可能性があります

実質破綻時免除特約

金融機関が法的倒産していないが、債務超過若しくはそのおそれがあり、内閣総理大臣が「日本の金融市場や金融システムに著しい混乱が生ずるおそれがある」と認定した場合に実質破綻と認定されます。通常、実質破綻と認定された場合、銀行が経営破綻した際に、法律に基づき一定の優先順位で資産が分配されますが、実質破綻時免除特約が付与されている債券の購入者に対する元利金の全部について支払いが行われず、購入者は当初の投資元本の全額を失うこととなります。

期限前償還条項

期限前償還条項が付されている債券は、償還日より前の期限前償還日に償還されることがあります。発行者は将来の市場環境や自社の資金ならびに資本調達への影響等を勘定しながら、期限前償還の実施を判断します。期限前償還条項に関しては発行者が金融庁に事前確認を行い、且つ発行者の裁量によって決定されるものになりますので、必ず償還されるわけではないことに注意が必要です。

Point

新型劣後債(バーゼルⅢ適格Tier2債券)は、銀行が経営破綻などが起きた場合に、投資元本を失う可能性があります。普通社債に比べるとリターンも大きいですが、リスクを理解した上で、投資しましょう。