つみたてNISAの落とし穴!? リスクの取りすぎなどには要注意 つみたてNISAの落とし穴!? リスクの取りすぎなどには要注意

つみたてNISAの落とし穴!? リスクの取りすぎなどには要注意

つみたてNISAの対象商品には必ず株式が含まれていることを知っていますか?

つみたてNISAは、2018年1月にスタートした長期積立分散投資を支援するための非課税制度です。
通常、分配金や売買益等に対して約20%課税されますが、つみたてNISAは年間40万円の新規投資額に対して非課税枠が設定されており、購入した年から最長20年間課税されません。

非課税だからといって、気軽につみたてNISAを利用する人もいますが、投資のリスクを理解して利用しないと、想定以上の損失が出てしまう可能性があります。
そこで、つみたてNISAを利用するにあたっての注意点を2つ紹介しましょう。

ひとつは、つみたてNISAの対象商品となる投資先についてです。
つみたてNISA口座内で購入することができる商品は、金融庁が定める要件に合致し、届出がされている商品に限られています。
金融庁が定める要件には、商品の投資対象に株式を含むこととあり、つみたてNISAの対象商品は、次の表のように株式指数を対象とするETFと、株式型または、株式を含む資産複合型の投資信託に限られています。

<つみたてNISA対象商品数>
つみたてNISA対象:199本

国内 内外 海外
公募投信 株式型 41本 12本 46本
資産複合型 5本 86本 2本
ETF(※株式指数のみを対象) 3本 4本

*金融庁 つみたてNISA対象商品の概要について(2021年6月18日時点)から作成

つまり、つみたてNISAの対象商品にはREITや債券のみを投資対象とする商品は含まれていません。

一般的に株式はREITや債券に比べてリスク、リターンの高い投資対象です。
株式に投資せず、リスクを抑えて投資したい場合は、つみたてNISAを利用しないということも検討しましょう。

つみたてNISAの非課税枠内だけでは目標金額には達しないかも!?

もうひとつはつみたてNISAだけで運用した場合、リスクが高くなりすぎる、目標額に到達することが難しくなってしまう、などの可能性があります。
次の表は、20年間で2,000万円を積立投資で準備する場合に必要な運用利回りを示しています。

<20年間で2,000万円を積立投資で準備する場合に必要な運用利回り>

毎月の積立額
(投資総額)
3.3万円
(792万円)
5万円
(1,200万円)
7万円
(1,680万円)
必要な利回り 8.2% 4.8% 1.7%

筆者が作成

2,000万円を目標に、つみたてNISAの非課税枠内である毎月3.3万円(40万円/年÷12カ月)だけを20年間投資した場合、必要な運用利回りは約8.2%になります。
これに対し、毎月5万円、または7万円積立投資することで、目標の2,000万円を達成するのに必要な利回りは低下します。
つまり、リスクを低くすることができるのです。

このように、つみたてNISAの非課税枠にとらわれず、毎月の投資額を増やすことで、リスクを抑えた運用でも、目標額に到達しやすくなります。

つみたてNISAは分配金や運用益等が非課税になる、魅力的な制度ではありますが、非課税という点だけに注目してしまうと、リスクの取りすぎや、必要なお金を準備できなくなってしまう可能性があります。
非課税枠にとらわれず、リスクや投資目標額などにも目を向けた資産運用を考えましょう。

中野敦成

執筆者:中野敦成

FP事務所LBプランニング 代表
大阪府堺市生まれ。理系大学卒業後、自動車会社などで設計支援業務に携わる。
1998年の株式売買手数料の自由化やネット証券の誕生をきっかけに株式投資を開始。株の売買のための情報種数をしている中でファイナンシャルプランナー資格に出会う。
投資の知識のためにとファイナンシャルプランナー資格を取得した際に、「お金のことを知っていると知らないでは世界がこんなに変わるのか!」と感銘を受け、資格取得後、FP事務所LBプランニングを開設。
現在は大阪市内の事務所で個人向けのFP相談業務を中心に資産運用や保険、ライフプランに関する執筆・セミナーなどを行っている。

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