移動平均線大循環分析 第2回(小次郎講師氏執筆) 移動平均線大循環分析 第2回(小次郎講師氏執筆)

移動平均線大循環分析 第2回(小次郎講師氏執筆)

移動平均線大循環分析には6つのステージがあると事を前回お伝えしました。3本の移動平均線の各ステージや並び順は図1において確認してください

(図1)

(図1): ステージの推移

上記の6つに分けられる各ステージには、相場の現状を示す意味(相場の状況)があります。では順を追ってみていきましょう。まずは、第1ステージです。これは上昇期を示しており、買いにエッジ(優位性)があるところです。次に、第2ステージは上昇トレンドの終わりを示しています。そして、第3ステージは下降トレンドの入り口であることを示しており下降期が来るかもしれないというように準備ができます。ここから第4ステージへと移行すれば下降期となり売りにエッジがあるところとなります。そして、第5ステージとなると下降トレンドの終わりを示し、第6ステージに移行すると上昇トレンドの始まりとなり、ここでも上昇期が来るかもしれないと準備ができます。
この一連の流れは時系列でいうと、一般的にはステージ1から始まり、最後はステージ6にいくという順番に推移していきます。これを「順行」といいます。ただし、「一般的には」というからには例外もあります。ステージ6からステージ1に向けて動くケースもあります。これを「逆行」といいます。ただ、逆行はそんなに多く起こる現象ではありません。大雑把な表現になりますが、全体の7割は順行で、残り3割が逆行です。ステージが逆行するのは、相場が押し目や戻し、あるいはもみ合い局面に入ったときです。また、逆行はそう長く続くものではありません。第2ステージから第1ステージ、第6ステージから第5ステージ、第4ステージというように、ステージを2段階か3段階進んだ後、再び順行に戻っていきます。したがって、逆行になったときは、「いつか順行に戻る」ことを念頭に置いて、ポジションをとるようにしましょう。

(図2)

(図2): 移動平均線大循環分析の順行と逆行 (8897)タカラレーベン 日足 2019年5月~2020年4月

次に重要なポイントは、順行のときでも逆行のときでも、ステージを飛ばして推移することは基本的には無い、ということです。厳密にいえばごく稀ではありますがステージを飛ばすこともあります。ただし、その時には移動平均線が収束しているので予測はできます。話を戻すと、例えば順行のときであれば、第1ステージの次は第2ステージになりますし、逆行のときには、第6ステージの次は第5ステージになります。これは移動平均線の成り立ちを考えれば、ギャップを空けて推移することはないので、ステージが急にジャンプすることはないとわかります。
上記の(8897)タカラレーベンのチャートを見るとステージが①➁③~と順行して①②となりましたが、そこから逆行して①に戻り、トレンドが継続する押し目買いの動きになりました。また、⑥⑤④と戻り売りの動きの時にも逆行しているのが分かります。
ということは、「いまがどのステージにあるのか」「順行なのか逆行なのか」さえわかれば、次のステージが明確に見えてくるということを意味します。そして、特徴として第1ステージ、第4ステージは、基本的に長続きする傾向があります。第2・3ステージ、第5・6ステージは移行期(変化期)のため、基本的に直ぐに終わる傾向があります。もし、その逆で第1ステージや第4ステージが短く、第2・3・5・6ステージが長いときは、もみ合い状態である可能性が高いということを示唆してくれます。

(図3)

(図3): 第1ステージや第4ステージは長続きし易い (3038)神戸物産 日足 2019年6月~2020年4月

(3038)神戸物産、のチャートを見ると、上昇トレンドが継続している間は第1ステージのままとなっており、押し目や調整局面になってくるとステージが変化しているのが分かります。

(図4)

(図4): 第1ステージや第4ステージは長続きし易い (2146)UTGROUP 日足 2019年8月~2020年4月

(2146)UTGROUPは上昇期から下降期へと移行していますが、綺麗にステージが第1ステージ→第2ステージ→第3ステージ→第4ステージへと移行してトレンド転換しています。安定上昇の時期には買いポジションで、安定下降の時期は売りポジションで臨みます。
初心者の方でも第1ステージで買いにエッジがあるところ、第4ステージで売りにエッジがあるところを仕掛けてステージが変化すれば手時舞うという手法であれば、このように大きく動いている銘柄でも十分に対応ができます。

(図5)

(図5):第1ステージ、第4ステージが続かないところはもみ合い相場 (4922)コーセー 日足 2019年5月~2020年4月

(4922)コーセー、のチャートを見ると、もみ合い相場とトレンド相場の違いが一目で分かります。ステージが直ぐに変化しているところがもみ合い相場です。初心者の方や中級者の方は、こういったもみ合い相場のところでも、もみ合い相場と気づかずに何とか利益を上げようとしてしまうのです。ステージが直ぐに変化するところはもみ合い相場であると理解できれば、ここは方向感のはっきりしない時期であり、ここで仕掛けると、いわゆる「だまし」にあう可能性も高いので、トレードは避けるという選択肢を取ることもできます。このように移動平均線大循環分析を使っていくことで大相場をしっかりと狙うことができるようになります。

(図6)

(図6): 移動平均線大循環分析は大相場に対応できる (4519)中外製薬 日足 2019年9月~2020年4月

(4519)中外製薬、2019年9月の第1ステージで買いを仕掛けたとしても移動平均線大循環分析を理解していれば途中の9,000円とか切りのいい10,000円とかで満足して利益確定売りをすることはありません。トレンドが続く限り持ち続けられるのです。

以上の特性については、頑張って暗記しなくとも、しばらく移動平均大循環分析をつかってみれば、自然に理解して覚えてしまうと思います。そのためには、チャートを見るときには常に「いまがどのステージにあるのか」「どういう推移でいまに至り、次はどのステージに移行する可能性が高いのか」を頭に思い浮かべるようにしてください。それを繰り返しているうちに、各ステージの特性についても実感ととも理解できるはずです。

多くの個人投資家は、損切りはなかなか決断できないのに、なぜか利益確定は急ぎがちで、結果的に大相場なのに、ほんの少しだけ値上がりしたところで利益を確定させてしまいがちです。これだと、損失は大きく膨らむ一方、利益は小すくいになってしまい、トータルで見てほとんど利益が上がらないという状況に陥ります。ところが、移動平均線大循環分析では、トレンドが続く限り手じまいのサインが出てこないため、ずっとポジションを持ち続けることができます。そして結果的に大相場をとることができるのです。逆に欠点は、もみ合い相場が続く局面において、収益を上げるチャンスがなかなかこないことです。また、トレンドが発生したとしても、それが小さい相場だと、仕掛けた途端、すぐにトレンドが転換してしまい、利益を上げることができなかったり、損切りになってしまったりすることもあります。

令和になって相場は大きく動き始めています。上昇する銘柄も下降する銘柄も値幅が大きくなってきています。このような時代だからこそ、大相場をしっかりと狙える移動平均線大循環分析を勉強していきましょう。

小次郎講師(手塚宏二)氏

小次郎講師(手塚宏二)氏 プロフィール


チャート研究家、トレード手法研究家、トレードコーチ。
タートルズのトレード手法を現代流に改良したトレードルール作成のノウハウを公開して勝てる投資家を輩出する。チャート分析の講座では、各種テクニカル分析を一般投資家がその指標を使って利益を上げられるところまで詳しく使い方を解説してくれるということで人気を博す。集大成として「移動平均線大循環分析」「大循環MACD」を独自開発。
「日本に正しい投資教育を根付かせる」ことをライフワークとし、現在門下生2千人を超える大人気講師。現在私塾「実践トレードラボ」を運営中。
みんなの株式コラムアワード2013年、2014年連続大賞受賞!
著書『真・トレーダーズバイブル』
現代の名著と呼ばれ、読者投票で選ばれる「ブルベア大賞」では、2015年準大賞、2016年大賞、2017から2018年まで特別賞を受賞するという快挙を達成。続けて『真・チャート分析大全』で準大賞を受賞する。

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