米ガラス大手で光ファイバーも手掛けているコーニング社の好決算発表を機に、データセンター関連企業への関心が急速に高まっています。
翌日にはデータセンターを大量に使うハイパースケーラー(大規模クラウド業者)のマイクロソフトの決算も良好で、先行きの需要増への期待感が高まっています。
コーニングの4~6月期の特別項目を除く売上高は前年同期比12%増の40億4,500万ドルで、市場予想38億6,000万ドルを超過しました。
データセンターで高速のデータ通信に使われる光ファイバーなどの需要が想定以上となっています。
7~9月期の売上高(同)は42億ドルと市場予想の40億ドル程度を上回っています。
コーニングといえばガラスメーカーが起源であり、業界の老舗。
現在は高機能ガラスと光学製品分野が主力業務です。
売上構成比が大きいのは、通信インフラとなる光ファイバーなどを扱う「光学・通信分野」です。
光ファイバーとは、透過率の高い石英ガラスやプラスチックで作られる光の伝送回路のことで、繊維でできています。
光信号を使用して情報を伝達するのですが、光ファイバーを大量に束ねたケーブルにすることで、高速大容量のデータ通信を可能にしています。
AI(人工知能)で求められる計算量が増加したデータセンターに不可欠です。
従来は銅線を使っていましたが、情報量、伝送効率で光ファイバーへの移行が急速に進んでいます。
コーニングは光ファイバーケーブルで世界首位級の企業です。
対抗は日本のフジクラで、フジクラの株価も上昇しています。
生成AIの登場で、エヌビディアの先端半導体需要が高まっています。
これは膨大な計算を瞬時に行えることによるものです。
一方、半導体で処理したデータを高速で伝送するためには、大量の光ファイバーが不可欠になります。
マイクロソフトが7月30日に発表した4~6月決算は、売上高が前年同期比18%増の764億4,100万ドルと、市場予想の738億ドル強を上回りました。
データセンターを活用するクラウド基盤「アジュール」の成長率が4~6月期に39%増となっています。
報道によれば、アジュールはデータセンターなどの稼働・建設状況から、クラウドサービスの容量が需要に追いついていない状況ということです。
マイクロソフトはデータセンターへの設備投資をさらに積極化する可能性が大きいですね。
なお、マイクロソフトの時価総額が決算発表を機に4兆ドル(約590兆円)に乗せています。
これはエヌビディアに次いで世界で2社目であり、AI半導体、データセンター関連の2社が世界をけん引している格好です。
なお、東証の時価総額は全社合計で約1,000兆円です。
米国株に加えて、日本株も含めた関連銘柄をピックアップします。
ガラス事業が祖業の老舗メーカー。
売上の主力は光学・通信事業。
高速・大容量のデータ処理を可能にする光ファイバーで世界有数。
特にAIデータセンターで採用されるGPUでは、従来の10倍超の光ファイバーが必要。
エヌビディアの先端半導体「ブラックウェル」では同18倍になるとの見方がある。
週足表示、2025年8月18日まで
価格はNYSEBQT参照
バーティブ・ホールディングス VRT バーティブ・ホールディングス VRT
データセンターや通信インフラ向けに、電源装置や冷却システム、ラックなどを提供する機器メーカー。
AIの普及でデータセンター向けの電源装置などの受注が増加している。
アマゾンなどのハイパースケーラー(大規模クラウド業者)が顧客とみられる。
電源から冷却、保守までの一貫サービスに強み。
週足表示、2025年8月18日まで
価格はNYSEBQT参照
シーゲイト・テクノロジー・ホールディングス STX シーゲイト・テクノロジー・ホールディングス STX
データを保存するストレージ(記憶装置)メーカー。
小型のHDD(ハードディスクドライブ)を初めて製品化。
パソコンでは記憶媒体がかつてのHDDから小型なSSD(ソリッドステートドライブ)に移行しているが、大きい記憶容量が求められるデータセンターではHDDが有効。
特に生成AIブームでこの傾向が一層強まっており、HDDへの引き合いが活発。
週足表示、2025年8月18日まで
価格はNYSEBQT参照
世界最大級のHDDメーカー。
タイやマレーシアに自社工場を所有のほか、世界各国に契約工場を展開。
SSDも手掛けてきたが、経営資源をHDDに集中してきている。
M&Aで業容を拡大。
事業の取捨選択も大胆に行う。
週足表示、2025年8月18日まで
価格はNYSEBQT参照
ソフトバンクグループ(9984) ソフトバンクグループ(9984)
2025年1月に、同社やオープンAI、マイクロソフトが共同で、5,000億ドル(約73兆円)規模の出資を行うAI関連のインフラプロジェクト企業「スターダスト」の設立を発表。
7月にはトランプ大統領が米国でのAIの技術優位性を高めるための「国家戦略AIアクションプラン」を公表。
データセンター建設に必要な認可手続きが簡略化され、スターダスト計画に追い風となりそう。
三菱UFJ eスマート証券のチャートツールEVERチャートで作成
週足表示、2025年8月18日まで
光ファイバーの大手。
光ファイバーはデータセンターに数多く使われているが、生成AIの開発が進む中で、膨大なデータを処理するにはさらに光ファイバーの重要性が増す。
こうした中で、一本の光ファイバーケーブルになるべく多くの光ファイバーを詰め込む「多芯化」と、光ファイバーの口径を細くする「細径化」が有効になる。
この技術に強いのが同社だ。
三菱UFJ eスマート証券のチャートツールEVERチャートで作成
週足表示、2025年8月18日まで




