エヌビディアの時価総額4兆ドル乗せで再度注目される半導体関連銘柄 エヌビディアの時価総額4兆ドル乗せで再度注目される半導体関連銘柄

エヌビディアの時価総額4兆ドル乗せで再度注目される半導体関連銘柄

AI(人工知能)半導体で断トツ世界首位のエヌビディア(NVDA) エヌビディア NVDAの時価総額が先日、世界で初めて4兆ドルに乗せました。
1ドル145円換算で580兆円となります。
東京株式市場全銘柄の時価総額が約970兆円、日本で時価総額首位のトヨタ自動車(7203)が40兆円弱ですので、いかにすごいかがわかります。
同社の高値更新で半導体関連株全般が再度注目されています。
株高は年初に懸念された先行き不安が払しょくされたことが要因といえそうです。
1月に中国スタートアップであるディープシークが先端でない半導体を使った生成AIを登場させた「ディープシーク・ショック」や2月にAIデータセンターの設備投資が鈍化するとの懸念が浮上し、株価が大幅な調整局面となりました。
一方、米マイクロソフトが4月に発表した1~3月期決算でデータセンターの設備投資に前向きだったことや、5月に発表されたAI半導体エヌビディアの2~4月期決算が好調であることが確認されました。
特に先端半導体「ブラックウェル」の需要が急拡大していたことなどで、再評価の機運が広がっているのです。

半導体の製造工程はシリコンウエハに設計図を描いて回路を作る「前工程」と、完成したチップを切り出して回路部分を保護しつつ配線するという、樹脂でパッケージ(封止)する「後工程」に分けられます。
前工程では、回路を描く線幅を細くすることで半導体の性能をあげてきました。
微細化すればするほど、同一のチップ面積に多くの素子を搭載できるので、演算処理が高まるためです。
微細化には限界があり、従来は線幅10ナノ(ナノは10億分の1)メートルよりも微細な回路を形成できないとされてきた時期もありました。
これをオランダの露光装置メーカーであるASMLが突破し、直近では3ナノまでの微細化が進んでいます。
そして今年後半には半導体製造受託世界最大手のTSMCなどで2ナノの量産化が始まるとみられています。

一方、後工程は半導体チップに配線して電源を供給し、埃(ほこり)などからチップを守る封止(パッケージング)を行い、熱を逃げやすくする工程です。
この結果、チップの重要性が増す一方で、ほんの少しのキズやほこり付着などで歩留まりが悪化する問題が生じます。
また、後工程を工夫してチップの性能をさらに引き出す必要性も高まっています。
さらに2022年に生成AIの「チャットGPT」が登場したことで、後工程の重要度が一層高まっています。
いずれも半導体の性能を上げるために進化しています。

主な半導体やデータセンター関連銘柄をチェックします。

エヌビディア NVDA エヌビディア NVDA

AI半導体で圧倒的なシェア。
5月に発表された第1四半期(2~4月)の売上高は440億6,200万ドル(前年同期比69%増)となった。
中国向け輸出規制の影響を除き、利益率も市場予想を上回った。
売上高の約9割を占めるデータセンター事業の売上高は同73%増と快走。
8月下旬に発表される5~7月決算にも期待がかかる。
なお、日本で任天堂のゲーム機「スイッチ2」が人気だが、極めて滑らかな映像は同社のGPU(画像処理装置)が貢献している。

エヌビディア NVDA

週足表示、2025年7月14日まで
価格はNYSEBQT参照

マイクロン・テクノロジー MU マイクロン・テクノロジー MU

記憶用に使われるメモリー半導体の大手メーカー。
2025年3~5月期の売上高は前年同期比37%増の93億100万ドルと市場予想(約89億ドル)を上回った。
後工程で先端半導体に隣接して使われるHBM(広帯域メモリ)の需要が拡大している。
HBMは複数のDRAMを垂直方向に積層することで、速いデータ転送速度(帯域幅)を実現する。
データセンター向けの売上高は同2倍以上となり、四半期として最高を記録したという。

マイクロン・テクノロジー MU

週足表示、2025年7月14日まで
価格はNYSEBQT参照

アプライド・マテリアルズ AMAT アプライド・マテリアルズ AMAT

半導体製造装置の世界的大手メーカー。
半導体ウエハの処理を行う前工程を軸に多様な装置を展開している。
製造・販売だけでなく、納入した装置の保守・サービスも手掛けている。
前工程では半導体線幅の微細化が進展しているが、これに必要なエッチング(表面加工)装置、スパッタリング(薄膜形成)装置などで高いシェアを誇っている。
AI向けなど先端半導体製品の需要が旺盛。

アプライド・マテリアルズ AMAT

週足表示、2025年7月14日まで
価格はNYSEBQT参照

ブロードコム AVGO ブロードコム AVGO

AI・通信用半導体の大手。
主な製品カテゴリーとしてAIの演算や高速通信に使われるAI・データセンター用半導体、サイバーセキュリティなど向けのソフトウエア、ワイヤレス通信用半導体の3つがある。
アナリストによれば、主要顧客にアップルやアマゾン・ドットコム、オラクルなどがあり、アルファベット傘下のグーグルにAI演算用半導体を提供しているという。

ブロードコム AVGO

週足表示、2025年7月14日まで
価格はNYSEBQT参照

マイクロソフト MSFT マイクロソフト MSFT

売上高で世界最大のソフトウエア開発企業。
「Azure(アジュール)」などのクラウドサービスに展開している。
生成AIの「チャットGPT」で知られる「オープンAI」に大型出資を行っている。
ハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)で、設備投資動向に注目が集まる。
年初にはデータセンターへの設備懸念が浮上したが、今後数年間でAIデータセンター開発へ800億ドル(約11兆5,000億円)の投資計画を明らかにしている。

マイクロソフト MSFT

週足表示、2025年7月14日まで
価格はNYSEBQT参照

和島英樹

和島英樹

経済ジャーナリスト。
日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年ラジオNIKKEIに入社。
東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。
2020年6月に独立。企業トップへの取材は1,000社以上。
ラジオNIKKEI担当番組に「マーケット・プレス」など。
四季報オンライン、週刊エコノミストなどへ寄稿多数。
国際認定テクニカルアナリスト(CFTe)。
日本テクニカルアナリスト協会評議委員。

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