金ETFは現物の金と何が違うの? 税金にも目を向けよう! 金ETFは現物の金と何が違うの? 税金にも目を向けよう!

金ETFは現物の金と何が違うの? 税金にも目を向けよう!

ETFと現物では税金が違う!?

株式や債券と異なる値動きをすることで分散投資の効果が期待できる金(ゴールド)。
金に投資するには、金地金(きんじがね)や純金積み立てなどで金の現物を売買する方法のほか、株式市場を通じて金ETFを売買する方法などがあります。

いずれの方法も同じ金を対象としていますが、金の現物に投資するのと、金ETFを通じて投資するのでは、利益に対する税金の取り扱いが異なります。

金の現物に投資して得た利益は、譲渡所得となり、給与などの他の所得と合わせて総合課税の対象となります。税率は、累進課税が適用されます。

金の保有期間が5年以内の場合は短期譲渡所得、5年超の場合は長期譲渡所得となり、それぞれの所得金額は次のように計算されます。

短期譲渡所得(保有期間5年以内):売却益-購入額-譲渡所得の特別控除50万円
長期譲渡所得(保有期間5年超):(売却益-購入額-譲渡所得の特別控除50万円)÷2

一方、金ETFに投資して得た利益は、株式や投資信託と同様に、分離課税の譲渡所得となり、税率は20.315%です(2022年5月末現在)。

金の現物の場合、売却して利益が出た際に50万円の特別控除を利用することができる一方で、損失が出た場合は、株式や投資信託などとの損益通算はできません。しかし、金ETFの場合は損益通算ができます。

このような課税の違いから、特別控除を利用して、50万円までの売却益には税金がかからない点に魅力を感じるなら、現物の金に投資をするといいでしょう。
しかし、大きな利益が出たときに給与などの税率が上がってしまう可能性があるのは困る、株式などとの損益通算に魅力を感じるなら、ETFを介して金に投資するといいでしょう。このように、投資方法の使い分けも可能です。

金ETFの注意点

金ETFは金価格に連動することを目指して投資を行う上場型投資信託です。
東京証券取引所には4銘柄の金ETFが上場しています(2022年5月末時点)。

証券口座を持っていれば、数千円から購入でき、手軽に金投資をスタートすることができます。
ただし、税金以外にも現物の金に投資する場合とは、次のような違いがあります。

<金関連のETF・ETN>
SPDRゴールド・シェア (1326)
NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信 (1328)
純金上場信託(現物国内保管型) (1540)
WisdomTree 金上場投資信託 (1672)

<現物と金ETFとの違い>

現物と金ETFとの違い 表

特に先物取引を利用して投資をするETFの場合、実物の金を保有していないため、現物の金を資産とする裏付けがありません。
このため、先物取引は流動性の低下や投機家の参入などによって、取引価格が不安定になることがあり、実際の金価格とETFの基準価額との間に大きな乖離が発生する可能性があります。

現在は、金融商品も多様化し、「金に投資する」と一口に言っても、さまざまな商品を介して金に投資することができるようになっていますが、商品によってそれぞれの特性があります。
特に、税金面については、納税する時になって「こんなはずではなかった」とならないように、投資を始める前に確認しておきましょう。

中野敦成

執筆者:中野敦成

FP事務所LBプランニング 代表
大阪府堺市生まれ。理系大学卒業後、自動車会社などで設計支援業務に携わる。
1998年の株式売買手数料の自由化やネット証券の誕生をきっかけに株式投資を開始。株の売買のための情報種数をしている中でファイナンシャルプランナー資格に出会う。
投資の知識のためにとファイナンシャルプランナー資格を取得した際に、「お金のことを知っていると知らないでは世界がこんなに変わるのか!」と感銘を受け、資格取得後、FP事務所LBプランニングを開設。
現在は大阪市内の事務所で個人向けのFP相談業務を中心に資産運用や保険、ライフプランに関する執筆・セミナーなどを行っている。

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