執筆者:カブヨム編集部
配当利回りとは
配当利回りとは、現在の株価に対して、企業が支払う予定の年間配当金の割合を示す指標です。
株式投資において配当利回りは、投資先の選定や評価において重要な指標の一つと言えるでしょう。
配当利回りの計算方法
配当利回りは、次の計算式で表されます。
配当利回り(%) = 1株あたりの配当金 ÷ 株価 × 100
例えば1株あたりの配当金が20円で株価が1,000円であれば20円÷1,000円×100となり、配当利回りは2%となります。
一般的には、1%以下であれば配当利回りが低い、5%を超えれば配当利回りが高いと判断されることが多いです。
配当利回りが高い株式は、投資金額に対して配当金を多くもらえるので「得」と思われるかもしれません。しかし、配当利回りはあくまでも、その時点での株価に対する配当金の予想の割合です。一見魅力的な数字に見えても、企業の業績や株価の下落によって実質的なリターンが損なわれる可能性もある点は理解しておきましょう。
配当利回りのメリット
配当収入は、投資家に定期的な現金フローをもたらします。この収入により、株価が急に下落した際の心理的および実質的な損失を一部補うことができます。そのため、市場が不安定な時期でも、ポートフォリオ全体に対するリスクを一定程度軽減する役割を果たす可能性があります。
また、配当利回りは長期的なリターンを見込む際の指針としても有用です。高い配当利回りを持つ企業への投資は、再投資効果によって資産を増やす可能性があります。したがって、配当利回りは企業の収益性と安定性を判断する上で重要な要素です。
高い配当利回りのデメリット
配当利回りは確かに重要な指標の一つですが、配当利回りだけに注目して投資を行うのはリスクが大きいと言わざるを得ません。
例えば、あまり儲けが出ていない企業でも、配当さえ高くしておけば配当利回りを上げることは可能です。実際に投資先を検討する場合は、配当利回りにつられず、業績や市場の状況などをよく確認することが重要でしょう。
また、前述の通り、配当利回りは「1株あたりの配当金÷株価」の計算式で算出するため、株価が下がったときも配当利回りは高くなります。実際にはそうとは言えないにもかかわらず、配当利回りの高い優良な銘柄に見えてしまうという可能性もあるため、十分注意が必要です。過去の株価推移なども確認したうえで投資判断を下すのが良いでしょう。
なお、経営が傾いていたり、社会通念上よくない出来事を起こした結果として株価が下がっていたりするのであれば、その企業の株式に手を出すのは控えた方がよいでしょう。業績の悪化に伴い、配当金が無配になる可能性あります。
さらに悪いケースで、配当金だけでなく、株式を購入した後で企業が倒産したり、大きく株式の価値が下がったりする可能性もないとは言えません。そのため、配当金の有無や配当利回りにとらわれず、必ず様々な角度から銘柄をチェックすることが大切です。
配当利回り以外もチェック
銘柄を選ぶ際には配当利回りだけでなく、企業の配当性向、経営状態、市場の状況、世間からの評判なども重要なチェックポイントとなります。
配当利回りとともにぜひチェックしたい、「配当性向」についても解説します。
配当性向とは?配当利回りとの違い
配当性向は、企業が利益から「どれだけの額を配当に回したのか」を示す指標です。
配当利回りは「株価」に対する配当金の割合を示し、配当性向は「企業の利益」に対する配当金の割合を示す指標であるという点に違いがあります。
配当性向の計算式
配当性向は、次の計算式で求めることができます。
配当性向(%) = 1株あたりの配当金 ÷ 1株あたりの当期純利益 × 100
一般的には、配当性向が30%以下であれば低い部類であるとみなされる場合が多いでしょう。一方、70%を超えると配当性向が高いと判断されやすいです。
配当性向を投資に活かすメリット
配当性向をチェックすることで、企業がどれほど株主に利益を還元しているかが確認できます。
高い配当性向は、株主還元を重視しており、安定した利益を持っている印象を与えることがあります。低い配当性向は、企業が未来の成長に備えて内部留保を充実させている可能性を示唆します。
「高すぎる配当性向」にはデメリットも
配当性向は単に高ければよいというわけではありません。配当性向が高すぎる銘柄は、企業が将来の成長資金を犠牲にしている可能性もあります。
さらに、収益が不安定な業種では、配当性向の急激な変動が見られる場合もあります。この指標だけで長期的な安定を判断するのには不十分と言えるでしょう。したがって、投資判断を行う際は、配当性向のほかに企業の全体的な財務状況や成長戦略をしっかりと分析することが重要です。
まとめ
配当利回りや配当性向は、投資先を検討するにあたって重要な指標と言えます。
しかし、高成長を続ける企業の中には、さらなる成長のための設備投資や研究開発に資金を割り当てるため、配当金を少額にしている企業や無配を続けている企業もあります。結果的にそうした企業の方が株価が上昇していくケースもありますので、「ただ単に高い配当が得られそうだから」というだけで投資先を決定するのは危険です。株式投資を行うのであれば、配当利回りや配当性向だけでなく、業績や市場の状況など、多角的な情報を参考にして取引を行いましょう。