25年9月に米国宇宙局(NASA)が有人宇宙船で月の軌道を回る探査計画の概要を発表しました。
NASAは有人月面探査「アルテミス計画」を進めています。
今回は2022年の無人船の打ち上げに続く2回目の探査で、「アルテミス2」と呼ばれています。
有人での月探査は1961年~72年の「アポロ計画」以来のことです。
一見順調そうに見えますが、アルテミス計画はこれまで延期を繰り返してきました。
当初トランプ大統領の第1次政権時の2019年に「24年に宇宙飛行士を月面に着陸させる」と宣言したものの、2度の延期を経て既に当初計画から3年の遅れとなっています。
開発の遅れが要因ですが、第2次トランプ政権では支出削減などを理由に開発の中止が提案されたこともあります。
一方、ライバルの中国が月面探査で実績を積み上げてきており、米政権は巻き返しのために計画を再度前に進めようとしています。
なお、中国は2030年に月面着陸を計画しているそうです。
「アルテミス2」は早ければ26年2月にも打ち上げが可能となり、ロケットの整備状況などを勘案し、同年4月までに実施する予定です。
4人の飛行士が搭乗して月を周回し、運行システムなどを検証する予定です。
順調に進めば、次に「アルテミス3」では27年半ばにも宇宙飛行士の月面着陸が計画されています。
成功すればアポロ計画以来のこととなります。
ミッションはその後も「4」、「5」と続く予定です。
なお、米国との取り決めで、28年以降には日本人宇宙飛行士が月に向かうことが決まっています。
ミッションの時期は未定ですが、日本ではトヨタ自動車(7203)
トヨタ自動車(7203)が月面探査車「ルナクルーザー」を提供する予定です。
月面を走行して探査しますが、内部で宇宙飛行士が宇宙服なしで生活できるそうです。
24年に地球での試験走行に成功しています。
また、三菱重工業(7011)
三菱重工業(7011)はISSの日本実験棟「きぼう」などの開発実績が豊富で、アルテミス計画でも重要な役割を果たすことになりそうです。
一度は頓挫しかけたアルテミス計画の進展で、宇宙関連の企業全般が見直される可能性が高いと思います。
まずは、26年の打ち上げ成功が契機となるかもしれません。
関連銘柄をピックアップ。
ヴァージン・ギャラクティック・ホールディングス SPCE
事前の特別なトレーニングを必要としない手軽な宇宙旅行を提供。
2019年に複数名搭乗の宇宙飛行に成功。
23年から7回の商業(有償)有人宇宙飛行に成功し、ミッション終了。
次世代のサービスは26年夏にも運用を始める計画。
航空・宇宙関連メーカーで世界最大規模。
民間航空機や宇宙・防衛関連製品を製造。
宇宙・防衛やセキュリティ部門では世界各国の政府や民間企業にサービスを提供。
主要顧客にNASA(米航空宇宙局)。
1960年~70年代のアポロ計画に参加。
週足表示、2025年10月14日まで
価格はNYSEBQT参照
軍用機を始めとする各種製品を幅広く生産。
宇宙関連ビジネスでの実績も豊富。
ボーイングとの共同出資会社がスペースシャトル計画の一端を担ったほか、NASAと小惑星向け探査機を開発。
アルテミス計画では月面探査車の開発も。
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価格はNYSEBQT参照
カリフォルニア拠点の宇宙関連企業。
小型ロケット「エレクトロン」を使った人工衛星などの打ち上げサービスを提供。
エレクトロンは50回以上のミッションに成功。
中規模ロケットも開発中とされる。
衛星部品の製造販売や軌道運用などの宇宙システムソリューションも手掛ける。
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価格はNYSEBQT参照
ブラックスカイ・テクノロジー BKSY ブラックスカイ・テクノロジー BKSY
高性能低軌道小型衛星の所有、並びに運用を手掛けている。
リアルタイムの地理空間情報ソリューションの提供にも展開。
顧客は国防情報局や諜報機関など政府機関が多い。
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ハウメット・エアロスペース HWM ハウメット・エアロスペース HWM
航空機エンジン部品や産業用ガスタービン部品で世界有数。
商用航空宇宙分野でジェットエンジン部品などが伸びている。
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価格はNYSEBQT参照
ノースロップ・グラマン NOC ノースロップ・グラマン NOC
世界有数の防衛関連企業。
宇宙システム部門では戦略衛星やNASA向けに国際宇宙ステーション(ISS)に物資を運ぶ補給船「シグナス」を展開。
アルテミス計画では固形燃料ロケット・ブースターを手掛けた実績。
週足表示、2025年10月14日まで
価格はNYSEBQT参照




