急激なFX相場変動にどう対応するか:ポジション管理とリスクヘッジの方法とは
為替相場は常に変動しており、その動きは金利の変動や地政学リスク、さらには突発的なニュースなど、さまざまな要因に影響されます。急激な相場変動に直面すると、ポジション管理やリスクヘッジが難しくなり、適切な対応ができない場合も少なくありません。
2022年春を例にとると、世界的なインフレ進行を背景に、各国が一気に利上げをした結果、金融緩和が続く円に対して多くの外貨が強い状態が続きました。その結果、ドル円が160円台に突入するなど、空前の円安外貨高相場に。
それから時が経ち、各国は利下げの構えを見せ始めるとともに、円も少しずつですが利上げモードに入ることで、2024年夏にドル円は140円台前半へ急落するなど新たな展開を見せています。
このように、この数年は非常にボラティリティが高く、1つのニュースで相場が大きく動いたり、節目の価格付近で乱高下が多く発生したりしました。
こういった波乱の相場において、生き残りながら、利益を狙っていく考え方を解説していきます。
1. ポジション保有時に急激に相場が動いたら
相場が激しく上下動しているとき、すでにポジションを持っていたら…動揺してしまうかもしれません。方針ごとに対応策をまとめましたので、落ち着いて対応してください。
1-1.
ポジションを維持する戦略
当初の損切りラインまでは静観する
エントリー時点で撤退(損切り)価格が決まっているなら、その価格まではトレードを続行しましょう。どれほどの大変動であろうと、損切り価格までまだ値幅があるなら、そのトレードはシナリオ通りに進行しています。
強制ロスカットを回避する
明確に損切りのシナリオを持たないままエントリーしていたり、複数のポジションが入り乱れていて把握が難しい場合は、証拠金維持率に注意を向ける必要があります。
証拠金維持率は、評価証拠金額÷建玉必要証拠金額×100で計算できる数値で、auカブコムFXならこれが75%を下回ると強制ロスカットが発動します。
証拠金維持率を上げる(改善する)ためには、追加入金するか、ポジションを減らすかです。
前者を行うことにより、評価証拠金額が増えるため証拠金維持率が上がります。後者を行うことで、建玉必要証拠金額が減り、証拠金維持率が上がります。
証拠金維持率をコントロールすることで、強制ロスカットのリスクを減らすことができます。
既存ポジションの買い増し・売り増し
価格が狙いと逆行して含み損が増えたときに、同方向のポジションを追加することで、平均ポジション保有価格を改善できます。例えば買いポジションを持っているときに下落してしまったら、下落した位置で買い増しをします。
こうすることで、その後相場が反転すればプラス転換のタイミングが早まりますし、ポジションが増えた分、大きな利益を得られる可能性も出てきます。
ただし、ポジションを追加すると、そこからさらに逆行した場合のリスクも増大するため、どのくらいのポジションを追加するかやロット数など事前にルールを決めて行うことが鉄則です。無制限な買い増しや売り増しは、リスクを大きくしてしまいます。
1-2.
損切りする戦略
資金を自由にして、次のチャンスに万全の態勢で備える
FXでポジションを持っている間は、ポジション保有に必要な分の証拠金が拘束されます。FXでは口座内の証拠金分しかポジションを持てませんから、乱高下する相場に危険を感じるなら含み損になっているポジションを一度決済してしまい、資金を自由にする考え方もあります。
使える証拠金を確保しておくことで、資金的に余裕があるのはもちろん、精神的にもニュートラルな状態で相場を分析できるため、次なるチャンスがあれば参入することができます。
2. ポジションがない場合に急激に相場が動いたら
相場が激しく動いているときは、大きな損失リスクもありますが、大きく利益をあげるチャンスでもあります。無理は禁物ですが、取引を検討してみてもよいでしょう。
またFXでは、売買の差益を狙う以外に、通貨ペア間の金利差で生じるスワップポイントを狙う戦略もあります。この考え方についても、このあと解説していきます。
2-1.
ポジションを持つ戦略
ロットを抑えて高いボラティリティに挑む
相場が材料に敏感な地合だったり、史上最高値や最安値を更新している時期は、ボラティリティが高まり、激しい上下動が起きます。
こういった局面ではノイズのような動きが出やすいため、結果として方向感を読めていても、長いヒゲの先で損切りされやすくなります。
対処法は、普段よりロットを抑えて、損切り幅を広めに取ることです。こうすることで、ノイズのような動きでも損切りされにくくなり、相場が伸びる方向についていきやすくなります。
ロットを下げているため、深めの損切りでもダメージは大きくなく、またボラティリティが高いので値幅を取りやすく、小ロットでも十分な利益を得る期待があります。
初動はスルーして続伸・続落を狙う
相場において、一度高まったボラティリティが完全に元に戻るまで時間がかかることが多いです。大きく動いたあとは、同じ方向に続けて動くこともよくあるため、ボラティリティ拡大直後の初動をやり過ごし、第2波を順張りで狙う戦略が考えられます。
またボラティリティ拡大直後は、スプレッドが広がっていることも多く、乱高下しやすいことからトレード難易度が高いため、あえて勝負しないという考え方に基づいています。
実例で第2波狙いを見ていきましょう。このチャートは2024年8月5日、13時20分時点のドル円5分足です。この日の午後、ドル円は大きく安値を更新しました。
下降トレンドであることは間違いないので、この時点でただちに売りを入れるのも間違いではありません。
ただ、ボリンジャーバンド(20)の-2σを大きく下回るところまで下げており、また下ヒゲも伸びています。下げの初動は一段落した可能性も考えられるため、様子を見ることにしました。
すると、先ほどの長い下ヒゲを伸ばした陰線が安値となり、じわじわと上昇を始めました。ミドルラインにタッチするかしないかくらいまで上昇したところで、第2波を狙って売りを入れてみます。
結果として続落し、比較的シンプルに利益を得ることができた展開でした。
スワップポイントの長期ポジションを構築する
FXでは為替相場の値動きで利益を得る以外に、保有するポジション数量に応じて日々付与されるスワップポイントを蓄積する勝ちパターンもあります。その場合は、スワップポイントが受け取りになるポジションを、できるだけ長く保有することがポイントです。
そういったトレードがもっとも有利に行えるのは、相場の大底でポジションを仕込むことです。
こちらは豪ドル円の月足チャートで、オレンジの水平線は2020年3月のコロナショック時の最安値です。
V字反転しているため難易度は高いものの、相場変動時に大底や大天井近くでスワップが受け取りになるポジションを仕込めれば、値上がり益、スワップポイントをどちらも狙える非常に有利なポジションになります。
ただし、スワップポイントは2国間の政策金利差に基づいて金額が決まるため、政策金利の変動があれば、スワップポイントの金額が減少したり、場合によっては、支払いに転じる可能性があります。
また、スワップポイントを受け取れるポジションを保有していたとしても、値動きによってはそれ以上の為替差損が発生する可能性もあることを覚えておきましょう。
2-2.
ポジションを持たない戦略
分析をした上で、先行きが読めないためあえて取引しないという選択肢もあります。
相場が急変動しているときには、平時なら効くテクニカルが機能しなかったり、手法が使えなかったりするため、無理をしないこともまた相場の世界で長く生き残るためには大切なことです。
3. しっかり備えて、波乱の相場をチャンスに変えるために
急激にボラティリティが高まる大相場は、行動次第でチャンスにもピンチにもなります。チャンスを得るためには、事前の準備が重要です。
3-1.
大変動は定期的に起きていることを理解する
○○ショックと呼ばれる大相場は、定期的に発生しています。相場のサイクルは大きく動く局面と、値動きの力を溜める局面が交互に訪れるものであり、これに新型コロナウイルス、ロシアとウクライナの戦争などの予想不可能なファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の要因が加わることで、大相場が訪れます。こうした大相場は避けることができないため、慌てすぎることなく、しっかりとしたリスク管理と戦略を持って対応することが重要です。
3-2.
大きな相場の流れはファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を把握する
日足以上の長期的なチャートにはっきり現れるような大きな流れは、必ずといっていいほどファンダメンタルズ的な背景があります。
今の相場で何がテーマになっているかを追いかけることで、相場の転換点が見えるようになります。そして相場のテーマをくつがえすような事件が起きれば、大きな値動きが発生することにつながります。
日頃から為替の値動きと併せて、ファンタメンタルズの状況を確認し、為替変動につながりそうな要素を押さえておきましょう。
3-3.
心の準備ができていないと適切に行動できない
2020年春に、新型コロナウイルス蔓延で社会が騒然となったときのことを思い出してください。あの時期、不安を煽るニュースが毎日流れていましたよね。
ところが、後から振り返ってみれば、コロナショック時は豪ドル円の絶好の買い場となりました。しかし、社会が悲観ムードに包まれる中で、冷静にチャートやニュースを追い、絶妙のタイミングでエントリーすることは簡単ではありません。
いざというときに、冷徹に行動できるよう、あらかじめイメージトレーニングをしておくことが大切です。
auカブコムFXのスマホアプリで相場急変に備える
auカブコムFXのスマホアプリにて、相場急変プッシュ通知設定を使用すると、相場が動いたときにスマホに通知を飛ばしてくれます。対象となる通貨ペアや、監視期間、変動率などを設定できるため、相場の動きを逃したくない方には必須の機能です。
チャート注文では、チャートの動きを見ながら発注することができ、相場が動いている際の注文に便利です。
また、アプリにはマーケット情報が搭載されており、経済指標の日程を確認したり為替解説動画を視聴すれば最新のファンダメンタルズの動向を把握することができます。
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