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宿輪 純一
第7回 「イラク攻撃」でさらに沈んでいくアメリカ経済(ブッシュノミクス)−資金援助で日本の財政赤字も更に拡大か

ブッシュ(父)大統領が「(前回の)湾岸戦争」を始めたとき、筆者は米国に駐在し先物(FutureやOption)のトレーダーをしていました。開戦した日には金融市場が荒れ、収まるまで海外の市場で一晩中トレードしたのを今でも憶えています。前回は、まだイラクがゲリラ戦にもちこんで、もしかしたら米軍を主体とした連合軍は苦戦するという話もあったが、今回は圧倒的軍事力の差によってそのような話すらでません。その後、「湾岸戦争」に連合軍サイドが勝利して、瞬間的にブッシュ(父)の支持率は上がりました。しかし、米国経済の悪化の煽りを受けて、大統領には再選されませんでした。政治(戦争)に勝って、経済に負けたとも揶揄されていました。しかし、今回のブッシュ(子)大統領が進めている「イラク攻撃」は、様々な状況がまったく違っています。一言でいえば無理が重なっています。

まず、政治的にも、国際的な連合体制すらえられていませんでした。経済的にも、イラク攻撃の軍事費増大のため、そして国内対策のため減税も行なったため、せっかく黒字となっていた財政収支を、今年は一気に単年度ベースで「史上最大の財政赤字」に押上げます。経常赤字と共に双子の赤字の復活です。今回の軍事行為では連合(協調)体制が取られていないため、他の国(日本以外)の軍事費分担は余り期待できません。更なるテロを連想させることもあり、米国の国内経済も悪化し株も弱含みました。資金の流出も続きドルも売られています。米国経済はそもそも「経常赤字」が大きく、おカネが入ってこなければ窒息する危険性もあります。かつて、私が先輩から教わった為替ディーリングの基本ルールの一つに、「有事のドル買い」というものがありました。いまや逆に「有事のドル売り」という状況です。 そんな中、米国経済運営の要職である経済諮問委員会の委員長に、「財政赤字こそ経済にもっとも悪影響がある」とするマンキュー先生が就任しました。今後の米国経済運営はどうなるのか、見当もつきません。いずれにせよ、戦後は財政赤字が経済問題の焦点になるのは明らかです。しかし、ブッシュ(子)政権が軍事関係者や製造業関係者で占められているせいなのか、父を越えたいのか、歴史に名を残したいのかは分からりません。何が彼をイラクに駆り立てるのでしょうか。支持率は上がるとは考えられません。

一方、日本はこの様な状況下、米国の軍事行為に関して、2割の経済的援助(送金)をするという話も耳に入ります。たしかに日本は、自分よりも格付が高い国に対して経済援助を惜しまない様な不思議な国です。さらに世界最高レベルになっている「財政赤字」を、さらに拡大してまで援助を行なうのでしょうか。もう予算はとってあったのでしょうか。その分、国内の構造改革政策に回した方が良いのではないでしょうか。

米国も、日本も戦後は財政赤字が経済問題の焦点になり、経済や株にはプラスに働くわけがありません。米国のマンキュー先生にも日本の財政(経済)問題について聞いてみたいものです。

短い間でしたが、有難うご座居ました。またどこかでお目にかかれる日を楽しみにしています。(本稿は個人的な意見です)
宿輪 純一(しゅくわ じゅんいち)
宿輪さんプロフィール
UFJ銀行エコノミスト、東京大学大学院講師、内閣府構造改革プロジェクト経済委員、映画評論家。87年慶應義塾大学経済学部卒、富士銀行入行、海外勤務等を経て、98年三和銀行に移籍。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」のコメンテーター。著書にベストセラー多数。







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